年頭ご挨拶

(一社)日本マテリアルフロー研究センター 代表理事 会長
大橋 進

新年おめでとうございます。

当研究センターの会員の皆様、ならびに物流分野でご活躍の専門業者の皆様におかれましては、本年もまた大きな飛翔の年になりますよう心から祈念いたしております。

さて、昨年4月からの働き方改革関連法のトラックドライバーへの適用に端を発した「物流2024年問題」は、「2030年物流クライシス」(輸送したい貨物の3分の1が運べなくなる事態)に向かって進んでおり、いくつかの解決案が産業界で試行されているとはいいながら、そのリスクはますます高まっているというのが正直な見方だと思われます。

トラックドライバー人員を増強するために外国人の就労を増やすための施策や、ドライバー賃金の見直しによる雇用増強は、ある程度の効果は期待できるものの対症療法でしかありません。現在のドライバー人口でも2030年に貨物を取り残すことなく運べるようにする抜本的対策は、ドライバーの人時あたりの輸送量を増やす方策しかありません。すでに考えられている、この種の解決方法に、ドライバーの拘束時間と実運転時間の比率の改善が挙げられていますが、相変わらずローディング、アンローディングをドライバーが対応する商習慣が存在していることも事実です。つまり、「軒先渡し」がいまだに多く、「車上渡し」が進んでいないわけです。これには、取引条件の見直しが必要で、当然、価格の見直しも含まれますので当事者双方にとってハードルの高い協議事項となります。「標準貨物自動車運送約款」はこの辺りの事情まで踏み込んでゆくのも一つの方策なのかもしれません。

一方、地球温暖化のせいなのか、異常気象がロジスティクスに与える影響が件数だけでなくその程度も増しているように思えます。昨今は、社会におけるロジスティクスの役割が認識されるようになったことは結構なことではありますが、そのリスク対策はいまだに「待ちの姿勢」が多いようです。幸い、最近は気象予報精度が上がり、かなり細かな地理的メッシュ、時間的メッシュで予報情報が得られる時代になりました。道路状況のデジタル情報も充実してきていることを踏まえ、予防的リスク管理に積極的に取り組むべき時が来たように思えます。雨・雪などの天気予報もさることながら、トラック輸送の場合は風の情報活用も大事です。特に「空荷」のトラックは横風に弱く、海に近い橋梁では非常に危険な状況であることをドライバーに事前に知らせる仕組みが必要です。とかく、リスクマネジメントは、リスクが生じた以降のBCPに目が行きがちですが、今年は、リスクの察知を含めた予防措置にもっと管理の焦点を移してみては、いかがでしょうか。

さて、当研究センターは本年もまた、例年ご好評の「アジア・シームレス物流フォーラム(ASLF)」や「国際マテリアルフローコンペティション(IMFC)」の開催をはじめ、「物流統括管理者(CLO)養成講座」、「ロジスティクス検定合格オンライン講座」の開催などを企画いたしております。例年にも増して皆様のご参加をお待ちいたしております。

末筆ながら、本年も当研究センターをお引き立ていただきますよう、お願い申し上げます。

2026年1月元旦

一般社団法人日本マテリアルフロー研究センター
代表理事 会長 大橋 進