年頭ご挨拶

新年おめでとうございます。

旧年中は皆様に多大なるご支援をいただき心より感謝申し上げます。
私こと、昨年8月に会長就任以来会員企業の皆様と様々な場面でお話の機会を持てましたことに厚く御礼申し上げます。

昨年は従来からの施策・方針を踏襲しつつも、新たにIMFC2024(国際マテリアルフロー・コンペティション2024)と称して、学生たちによるロジスティクス創発を競技形式で発表してもらう初めての企画を実践いたしました。この試みは、産学の連携を強化するともに、学生諸氏のロジスティクス分野への啓発活動への嚆矢たり得たのではないかと自負いたしております。

そうした啓発活動のほか、ご承知の通り、当研究センターの主要な役割の一つに異業種間交流があります。同じ業界内では共有している知識も、業界の壁を超えてみるとさらに新たな視点が得られるものです。同業者同士の話題は、極めて専門的な領域に踏み込んだお話もあるでしょうが、いつも変わらぬ話題でマンネリ化していることもあります。全く違う業界の話は、時として非常に斬新で、業界自体の国際競争力を高めるヒントを見出せるものです。当センターの研究会は、そうした場の提供に専心した活動であり、多くの会員の皆様から好評をいただいております。

さて、製品などの「もの(マテリアル)」を造るのは製造業者ですが、造ったものは卸業や小売業といった流通業者により消費者の手にわたるものもあれば、メーカー自身が取引先に届けるものもあるでしょう。そこには歴然としたものの流れ(フロー)があります。この流れ(マテリアルフロー)は、漫然と存在するのではなく、経済的に、かつ、数量的に計画されているもので、生産計画に基づく、調達計画、在庫計画、輸配送計画、商品計画(マーチャンダイジング)、需要計画、リサイクル計画という具合に、多くの「計画」が最下流までつながっています。そしてその流れとは逆向きに、下流から上流に、情報の流れが連鎖しています。これこそがサプライチェーン・ロジスティクスの世界なのです。

今や「流れ」は一国内にとどまらず、国際分業が進む中、クロスボーダー取引、三国間取引などに代表されるように、世界規模の網目のようなシームレスな経路を呈しています。

それはつまり、時間・数量・経路のパラメータのほか、商取引ルール、法制、地政学的リスクなどを総合的に評価し「計画」するのは並大抵の知識や理論では成し遂げられなくなっていることを意味します。そうした背景から、人知を超えて、今後のソリューションは、スパコンや量子コンピュータ、さらには、AIによる創発も期待されているわけです。2025年は、単なる企業内のDXや、工場・倉庫内のシステム化・ロボット化を超えて、世界規模のシステムとしてのマテリアルフロー・デザインが求められる年となることでしょう。

終わりに、旧年にも増して本年も当研究センターをお引き立ていただきますよう、皆様にお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

2025年元旦

一般社団法人日本マテリアルフロー研究センター
代表理事 会長 大橋 進